HL7 FHIR JP Core ImplementationGuide
1.1.2-url - ci-build Japan

HL7 FHIR JP Core ImplementationGuide - Local Development build (v1.1.2-url) built by the FHIR (HL7® FHIR® Standard) Build Tools. See the Directory of published versions

欠損値(データが存在しない場合)の扱い

FHIR®ではJSONおよびXMLいずれにおいてもオブジェクトは空ではならない。リソース内にエレメントが存在している場合、そのエレメントはそのタイプに応じた何らかのプロパティか1つ以上の拡張を持つ必要がある(2.6.2 JSON Representation of Resources, 2.6.1 XML Representation of Resources)。string型の値は空文字列であってはならず、そのプロパティが存在するのであれば、1字以上の文字を含む必要がある(2.24.0.1 Primitive Types)。

データがない場合に、Data Absent Reason拡張を用いて、データが欠損している理由を表すことができる。

JP Core の検索要求するクライアント(Requester)およびサーバ(Responder)は以下の要求を満たすこと (SHALL)。

クライアント(Requester)


実装ガイドに準拠するクライアントは、Cardinalityが1以上が付与された要素を含むリソースを受信した場合、エラーを発生させたりアプリケーションを失敗させることなく、それらの値を処理することができなければならない (SHALL)。

例) Readインタラクションの応答として、Cardinalityが1以上の 要素であるPatient.maritalStatus を含むPatient リソースを受信した場合、 要求者はその値をエラーなく処理しなければならない。

 {

    "resourceType": "Patient",

    ...

    "maritalStatus": {

        "coding": [{

            "system": "http://terminology.hl7.org/CodeSystem/v3-MaritalStatus",

            "code": "M",

            "display": "Married"

        }]

    },

    ...

}

実装ガイドに準拠するクライアントは、欠損データであることを宣言した Cardinalityが1以上のデータ要素を含むリソースインスタンスを処理できなければならない (SHALL)。

例) Patient.birthDateの値に欠損情報が付与されているリソースを、要求者は処理できなければならない。なお、birthDateはdate型というprimitive typeであり、そのextensionは"_"を先頭につけたプロパティに対して設定される(2.6.2.3 JSON representation of primitive elements)。

{

    "resourceType " : "Patient",

    ...

    "_birthDate ": {

        "extension" : [{

            "url " : "http://hl7.org/fhir/StructureDefinition/data-absent-reason",

            "valueCode" : "unknown"

        }]

    },

    ...

} 

サーバ(Responder)


要素の値を保持している場合

JP Core 実装ガイドに準拠するサーバは、当該要素の値を保持している場合には、要求された検索結果のリソースのデータ要素として含めることができるべきである (SHOULD)。

要素の値を保持していない場合

その要素のCardinalityが0を含む場合

JP Core 実装ガイドに準拠するサーバは、Cardinalityが0を含む要素の値を保持していない場合、そのデータ要素の項目を省略してもよい (MAY)。

例)

Patient.telecomが欠損している場合…telecom要素は含まなくてよい。

{

    "resourceType" : "Patient",

    ...

    "name" : [{"family" : "Yamada", "given" : [ "Taro" ] }],

    "gender" : "male",

    ...

}

その要素のCardinalityが1以上の場合

JP Core実装ガイドのサーバは、Cardinalityが1以上の要素の値を保持していない場合、次のように、データの欠損理由を指定しなければならない (SHALL)。

非コード化要素の場合

非コード化値の場合: Data Absent Reason拡張を使用して、欠損理由を送 信できなければならない (SHALL) 。

例) 患者の生年月日が不明なため、Patient.birthDateに値を保持していない場合(Patient.birthDateが必須 MustSupport)、Data Absent Reason 拡張を使用して、欠損理由(=不明)を示す。なお、birthDateはdate型というprimitive typeであり、そのextensionは"_"を先頭につけたプロパティに対して設定される(2.6.2.3 JSON representation of primitive elements)。

{

    "resourceType " : "Patient",

    ...

    "_birthDate ": {

        "extension" : [{

            "url " : "http://hl7.org/fhir/StructureDefinition/data-absent-reason",

            "valueCode" : "unknown"

        }]

    },

    ...

} 

コード化データ要素(CodeableConceptデータ型、または、code データ型)の場合

a) そのコード化要素のバインディング強度が、example, preferred, extensible のいずれかの場合

i. コード化値の代替となる文字情報を持っている場合は、文字データのみを使用する。

例) Patient.maritalStatus が必須要素の場合で、Patient.maritalStatus のコード値はわからないが、「既婚」という文字情報は持っている場合、CodeableConcept の text を使用する。

{

    "resourceType" : "Patient",

    ...

    "maritalStatus": {

        "text" : "既婚"

    },

    ...

},



ii. コード化値の代替となる文字情報がない場合、バリューセットの中に例外値を表現するコードがあればその値を使用する。

例)バリューセットに含まれる例外値を表現するコードを使用(ValueSet marital-statusには、不明な状態を表すコード[UNK]を含んでいるため、UNKを使用する)

{

    "resourceType" : "Patient",

    ...

    "maritalStatus": {

        "coding": [{

            "system":"http://terminology.hl7.org/CodeSystem/v3-NullFlavor",

            "code": "UNK",

            "display": "unknown"

        }]

    },

    ...

}

iii. コード化値の代替となる文字情報がなく、バリューセットの中に例外値を表現するコードが無い場合、[DataAbsentReason]コード体系から、適切な概念コードを使用する。

例) Patient.communication.language の値が、患者に確認していないため不明の場合、Data Absent Reason拡張より「not-asked」を使用する。※Patient.communication.language は現状のJP Core Patientプロファイル案では必須ではないため、例示のためのみに使用した。

{

    "resourceType" : "Patient",

    ...

    "communication": [{

        "language":{

            "extension": [{

                    "url " : "http://hl7.org/fhir/StructureDefinition/data-absent-reason",

                    "valueCode" : "not-asked",

                    "display": "Not asked"

            }]

        }

    }],

    ...

}

b)そのコード化要素のバインディング強度が required の場合

そのバリューセット内に含まれる例外値を表すコードを使用する。

例) Patient.genderの値が不明の場合、 バリューセットAdministrativeGender に含まれる例外値を表すコード「unknown」を使用する。※Patient.genderは現状のJP Core Patientプロファイル案では必須ではないため、例示のために使用した。

{

    "resourceType" : "Patient",

    ...

    "gender": "unknown",

    ...

}